唇を閉ざせ Ne le dis à personne

先月ヒューマントラスト渋谷で開催されてた三大映画祭週間2011。ものすごくワクワクするラインナップだったのに、結局4本しか観てない…
と思ったらシネマート新宿で上映されているでないの!
束の間のプー太郎期間、ラテンビート映画祭日仏カイエ週間でてんやわんやですけど、なんとかコンプリートしておかないと。

その三大映画祭週間の中で、唯一の純フランス映画『唇を閉ざせ』(Ne le dis à personne)。
2007年のセザール賞で最優秀監督賞、男優賞を受賞。
フランスで500万人動員の大ヒット、ハリウッドでリメイクも決まっている(ベン・アフレックが監督!)らしいです。
今世紀最大のアゲチン、マリオン・コティヤールのパートナーであるギヨーム・カネ監督作品。プロデューサーはリュック・ベッソン。

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カネ監督作品では去年の『Les Petits mouchoirs』(マリオンがすっぴんで出演!)はイマイチだったんだけど、この『唇を閉ざせ』は面白かったー!!
シネマート新宿で18日(日)10:40~ もう一回上映があるので、時間が合う方は是非~。

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8年前、何者かに襲われ妻マルゴを失ったアレックスは、ある日突然、マルゴからのメールを受け取る。そこには「誰にも言わないで」という一言とともに、現在のマルゴの元気な姿が写しだされていた。アレックスはマルゴの居場所と事件の真相を探るべく調査を始めるが……。



コメディからシリアス、アクションまで演じる、フランスの草刈正雄ダンディ俳優・フランソワ・クリュゼ主演。
シャブロルやクラピッシュ作品、ハリウッドにまで進出しているのに、なんか地味~

地味な風貌ながら主役よりも癖のある役や脇役が多い俳優であり、一番多いのは妙に夫婦仲が冷えて、妻に愛想をつかされかける亭主の役柄である。
Wikipediaより)
そんな脇役男が、カネがクリュゼの大ファンだからということで主役に抜擢されたそうな。
クリュゼ、全力疾走してます。頑張ってます。

妻役は、『潜水服は蝶の夢を見る』で献身的な言語聴覚士を演じたマリ=ジョゼ・クローズ
妻の父役に『私のように美しい娘アンドレ・デュソリエ
姉役は『レディ・チャタレー』『隠された日記マリナ・ハンズ(そういやマリナも『潜水服~』に出てたね)。
姉の恋人(つまりレズ)役には『サラの鍵クリスティン・スコット・トーマス
弁護士にはナタリー・バイ
そして『髪結いの亭主』のジャン・ロシュフォール、更にはオリヴィエ・マーシャルまで出てきた!
と、(フランス映画では)全員主役級の豪華キャスト!!!
カネ自身も出演。
「うわ!出てきた!」と、いちいち驚きながらも楽しめますが、いやはやキャストに負けず劣らず内容も良かったよ。

ちょうど現在公開中(あれ、東京じゃもう終わってるか)なのでフレッド・カヴァイエの『この愛のために撃て』と比較してしまうのな。ジル・ルルーシュも出てるしね。
「無実な男が妻のために走る!容疑者になる!」って被る要素はたくさんあるし。カヴァリエが現代のフィルム・ノワールなら、『唇を閉ざせ』はもうちょっと人間の根底を突いてきているような。
カヴァリエほどスピード感はないし上映時間も長いけれど、その分現実味があって主人公に感情移入し易いし(カヴァリエは「痛い痛い痛い痛い」「銃声ヤダー」要素詰め込みすぎていて個人的にちょっと苦手なだけなんだけど)。
残酷な絵もあるけれど、湖で戯れるシーンや子供時代の思い出、葬式と結婚式を交互に映すシーンなど心を奪われる絵がとても多いの。
男女間の愛と、親子愛。嘘と真実と偽善と醜さと。
いろんな感情の交錯から、予測不可能な展開を愉しむことのできる良作。

ネタバレしちゃうからあんまり書けないー。ううう、もどかしい。

ギヨーム・カネは9月21日フランス公開『La Nouvelle guerre des boutons』にも出演していますね。
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日本公開に期待。

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